性病・性感染症(STD)の全て

肝 炎

肝炎とは

現在、肝炎ウイルスはA型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、G型肝炎ウイルス(HGV)の6種類に分けられ、またTTウイルス(TTV)も肝炎ウイルスに含まれると考えられていますが、HDVは日本ではまれです。


感染経路はHAVでは経口感染ですが、HBV、HCVでは主として血液を介した感染です。その他のウイルスについては不明確な点が多いのが現状です。

A型肝炎ウイルス(HAV)

HAVは、感染者の糞便中に排出されたHAVが何らかの媒介体を通して未感染者の口に入ることで感染します。HAVは、このように経口感染を示すため一般には性病・性感染症としては認められていませんが、男性同性愛者間では性行為の一種(口腔、肛門性交)により感染が生じることから性病・性感染症にも分類されます。


症状は、発熱、および食欲不振、悪心、嘔吐などの消化器症状、全身倦怠感、黄疸で、B型、C型と比べて38℃以上の発熱を出す場合が多くみられます。症状は慢性化することはありません。


A型肝炎ウイルス(HAV)の診断と治療

A型肝炎は、血清中にIgM型HA抗体を検出することで診断されます。HA抗体反応は、感染初期でも、感染後かなり時間がたった場合でも、陽性を示すため、HA抗体のみでA型肝炎の診断をする場合、時期をおいて再検査し、抗体価の上昇を確認する必要があります。


通常は特別な治療をしなくても、ほとんど3ヶ月以内で治癒します。胆汁うっ帯を起こした場合は、ステロイドの投与が必要になります。A型肝炎の劇症化はB型肝炎と比較すると、かなり少なく予後も良好です。


予防には、HAワクチンの接種が有効です。ワクチンによるHA抗体獲得率は、3回の接種で5年後でもほぼ100%を示します。

B型肝炎ウイルス(HBV)

HBVは、主として輸血、医療行為などで血液から感染しますが、人と人の密接な接触でも感染します。HBV感染には持続性感染と一過性感染があり、免疫機能の未熟な乳幼児がHBVに感染すると多くが持続感染になることが知られています。


また、B型急性肝炎の患者の5〜30%が性行為による感染とされており、対象が成人であることから一般には一過性感染となります。性行為の頻度が高い場合、また梅毒などで粘膜に損傷がある場合、感染の危険性が高いと考えられます。


B型肝炎ウイルス(HBV)の一過性感染には不顕性感染と急性肝炎があり、80%が不顕性感染となります。不顕性感染では、無症状のままHBs抗体(B型肝炎表面抗原)が検出され、やがて治癒します。


一方、B型急性肝炎の場合は潜伏期間の後、黄疸、発熱、消化器症状、倦怠感などの症状がみられるようになります。


B型肝炎ウイルス(HBV)の診断と治療

B型肝炎では、潜伏期から陽性を示すHBs抗原の検出によって診断が可能ですが、HBs抗原の出現は過渡的な場合もありうるのでHBs抗原の検出ができなくてもB型肝炎の可能性が完全に排除できないため、その場合にはIgM型HBc抗体の検出で診断されます。


HBV関連マーカーの時間的経過に伴う変化は以下のようになります。HBV DNAは潜伏期から陽性となり、発症後早期に陰性となります。HBs抗原では潜伏期から陽性となり、症状の改善と共に陰性化します。IgM型HBc抗体は潜伏期から陽性となり、症状の改善と共に抗体価は低下しますが、長期間低力価で検出されます。


HBVが成人に感染した場合は、通常慢性化することなく特別な治療をしなくても治癒しますが、B型肝炎の5〜10%が慢性化しB型慢性肝炎となります。B型慢性肝炎の治療は主にインターフェロンの投与により行われます。一方、1〜2%は劇症化するため、治療としては近年、生体肝移植が積極的に行われています。

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染予防

感染予防対策としては、血液および血液に汚染されたものが他人に付着しないようにすることで、入浴、理髪、食器などには特別な配慮は必要ありません。


性行為によるHBV感染は、HAV未感染者のパートナーがHBVキャリアである場合に起こり、この場合HBワクチン接種が勧められます。HBワクチンの接種は、性行為による感染だけでなく、母児間感染、また保育園内などの水平感染に対しても有効です。HBワクチンにより獲得した抗体は3〜4年で消失するので、抗体が消失した場合にはワクチンの追加接種が必要になります。

C型肝炎ウイルス(HCV)

C型急性肝炎は他のウイルス肝炎とほぼ同様の症状・経過ですが、一般にはA型、B型に比べ軽症で、劇症化はまれです。HBV感染と同様、HCV感染には持続性感染と一過性感染があり、特にHCV感染では成人でもHCVに感染すると多くが持続感染、になることが知られており、急性肝炎の60〜80%が慢性肝炎に移行します。


感染は、輸血を含む医療行為が主であると考えられますが、わずかですが母児間感染、夫婦間感染も認められます。性病・性感染症としては、HBVと同様、性行為の頻度が高い場合、また梅毒などで粘膜に損傷がある場合、感染の危険性が高いと考えられます。

C型肝炎ウイルス(HCV)の診断と治療

肝機能検査に異常があり、第2世代試験によるHCV抗体が陽性であれば、C型肝炎と診断されます。この方法は急性肝炎、慢性肝炎を問わず大部分の症例に有効です。ただし現在HCVに感染しているかどうかを知るためには、HCV RNAの測定が必要です。


自分でできるC型肝炎検査キットなどで手軽にチェックできます。


また、C型急性肝炎は多くが慢性化します。治療は、B型と同様インターフェロンを用いて行われます。長期投与の場合、血小板減少、間質性肺炎、うつ病、甲状腺機能異常などの副作用に注意が必要です。


尚、難治性の肝炎に対しては、抗ウイルス剤のリバビリンとインターフェロンαの併用療法が行われ良好な成績を収めています。

C型肝炎ウイルス(HCV)の予防

HBVと同様、HCVの感染予防対策としては、血液および血液に汚染されたものが他人に付着しないようすることで、入浴、理髪、食器などには特別な配慮は必要ありません。


性行為によるHCV感染は、HCV未感染者のパートナーがHCVキャリアである場合に起こり、その対策はコンドーム の使用しかありませんが、夫婦間感染率も低く特別な処置は必要ないと考えられます。

その他の肝炎ウイルス

G型肝炎ウイルス(HGV)、E型肝炎ウイルス(HEV)、TTウイルス(TTV)がありますが、未だ不明な点が多く、性病・性感染症としては認められていません。またD型肝炎ウイルス(HDV)は、日本ではほとんど認められません。

肝炎の垂直感染

肝炎ウイルスのうち、B型、C型、G型肝炎ウイルスで垂直感染が認められ、経胎盤感染や産道感染で児に感染します。母子感染の対策として、B型肝炎ウイルスでは、分娩時の接触予防、分娩後のB型肝炎ワクチン、免疫グロブリン投与が行われますが、C型、G型肝炎ウイルスについては確立された方法はありません。



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