性病・性感染症(STD)の全て

性感染症の垂直感染

垂直感染01

垂直感染とは

垂直感染とは、母体に感染している病原体が妊娠、分娩、授乳を通じて胎児や出生児に感染することです。母子感染と同義語で、水平感染に対する言葉です。垂直感染を生じる多くの病原体が性行為により伝播するため、性病・性感染症における母子感染は重要な問題になります。

母体の性病・性感染症の発症は、妊娠経過に大きな影響を及ぼし、流早産の原因になることがあります。細菌性膣炎、クラミジア感染、淋菌感染症、梅毒が早産との関連が強いと考えられています。妊娠がわかりましたら市販の検査キット などを使い早期の発見が必要となります。

垂直感染の感染経路

垂直感染はその感染経路によって経胎盤感染、上向性感染、産道感染、母乳感染に分類されます。さらに経胎盤感染は、血行性経胎盤感染、直接伝播性経胎盤感染、上向性経胎盤感染に分類されることもあります。

血行性経胎盤感染は、母体血中の微生物が血流により胎児に侵入すること、直接伝播性経胎盤感染は、卵管あるいは子宮内膜の感染が直接胎児に感染すること、上向性経胎盤感染は膣あるいは子宮頸管の微生物が上向し、胎児に感染することですが、通常経胎盤感染は、血行性経胎盤感染を意味し直接伝播性経胎盤感染、上向性経胎盤感染は上向性感染に分類されます。

性病・性感染症の原因微生物の垂直感染で新生児に生じる臨床徴候

単純ヘルペスウイルスの垂直感染で新生児に生じる臨床徴候としては、肝脾腫、黄疸、肺炎、点状出血または紫斑、水疱、丘疹、髄膜脳炎、小頭症、水頭症、心筋炎、脈絡網膜炎、網膜症、白内障、結膜炎、角結膜炎などがあげられます。

梅毒トレポネーマの垂直感染での新生児に生じる臨床徴候としては、肝脾腫、黄疸、リンパ節腫脹、肺炎、点状出血または紫斑、水疱、丘疹、髄膜脳炎、聴覚障害、骨疾患、緑内障、脈絡網膜炎、網膜症、ぶどう膜炎などがあげられます。

以上のように肝脾腫、肺炎、神経疾患、心疾患、眼疾患など多くの重篤な症状と関連します。

垂直感染の原因となる感染微生物

ウイルス、細菌などさまざまな病原微生物が垂直感染の原因となりますが、その中に性病・性感染症の原因となる多くの微生物が含まれます。

性病・性感染症のうち、主に経胎盤感染による垂直感染の原因となるものは、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、梅毒トレポネーマなどで、産道感染の原因となるものは、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス、B型肝炎ウイルス、カンジダ、クラミジアなどで、新生児疾患との関連が強い微生物の半数以上が性病・性感染症の原因となる微生物です。

さまざまな垂直感染

カンジダの垂直感染

カンジダは羊水感染や産道感染により垂直感染が生じ、児の口腔粘膜にカンジダが感染すると鵞口創が生じます。また低出生体重児ではカンジダにより重篤な全身感染症が生じることがあります。

産道感染の防止のため、妊娠36週以降で膣より大量のカンジダが検出された場合、治療することがすすめられます。

サイトメガロウイルス感染の垂直感染

サイトメガロウイルスの垂直感染は、経胎盤感染、経産道感染、経母乳感染の全ての経路で起きる可能性があります。

妊婦がサイトメガロウイルス初感染の場合には児に重篤な後遺症が発症し、経胎盤感染により巨細胞封入体症が生じ、小頭症、脈絡網膜炎、頭蓋内石灰化、肝脾腫、黄疸などの症状を示します。

成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の垂直感染

HTVL-1の母子感染は主に経母乳感染で生じ、感染した児は成人してから成人型T細胞白血病(ATL)を発症する可能性があります。

経母乳感染を防ぐため、完全人工栄養、短期授乳(3ヶ月間)、加工母乳(凍結解凍または56℃30分の熱処理)などの栄養法が用いられます。

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